パターン・ランゲージが拓く 探究学習の環境デザイン
カードを集め、コレクションして、相手とバトルした記憶。カードになった「見方・考え方」を集め、コレクションして、問いへの答えをつくる。パターン・ランゲージは「教具」の視点から、探究学習の環境デザインを拓いていく。
1 「カード」に宿る魅力と磁力

鬼塚 拓
宮崎市立宮崎中学校 指導教諭(総合的な学習の時間)
1984年宮崎県串間市生まれ。宮崎大学大学院教育学研究科。宮崎大学教育学部附属中学校教諭等を経て、2025年より現職。「当事者研究の知見を組み込んだ探究カリキュラムの原理・開発研究」及び「民主主義の実践としての探究カリキュラムのマネジメント原理・開発研究」に従事。
お小遣いを握りしめてスーパーの片隅に駆け出す。小さい頃の私にとって圧倒的な存在感を放つ「白色の四角いボックス」に向かって。小銭を入れる。ドキドキしながら、カタン、カタンとダイヤルを回す。カードが裏返しで出てくる。1枚ずつ、表にする。「やったー!キラキラのカードが当たった!」「ちぇっ……またこれかよ……」。当時の私にとって最大幅の感情の乱高下を味わう。自慢のカードファイルに1枚1枚、丁寧に収納する。そして、友人たちとカードを見せ合い、自慢し合うのだ。
時が経ち、親になる。息子がお小遣いを握りしめてカードショップへ走る。5枚ほどのカードがランダムに封入されたパックを開ける。開けようとするときの表情も、感情の乱高下も、ファイルへのコレクションも、自分の少年時代と重なる。違うのは「バトル」だ。週末に開催される「カードバトル大会」に備えて、手持ちのカードを組み合わせ、作戦を練る。
カードを集めること、ファイルに収納・保存すること、目的を達成するために組み合わせること。これらの行為は、(……わずか2世代しか検証していないものの)世代を超えて私たちを掴んで離さない。カードに宿る魅力と磁力。この魅力と磁力を、学校の中に持ち込んでみたい――。
2 「見方・考え方」と
「パターン・ランゲージ」
学習指導要領の改訂作業が進むなかで「見方・考え方を働かせること」の重要性が改めてクローズアップされていた時期、「見方・考え方を働かせる」ということのイメージをうまく掴めずにいた。そんなときにヒントになったのが「カード」だった。
(※全文:1910文字 画像:あり)
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