顧客価値の創造、提供、維持。マーケティングの本質的な学びを

成熟期を迎えた日本で、企業にとっては、顧客価値を創造、提供、維持するマーケティングの重要性がより高まっている。一方、その本質は十分に浸透していない。実務とアカデミアの双方を経験し、マーケティングを専門とする鈴木智子氏からマーケティングを学ぶ重要性を伺った。

マーケティングの本質が
伝わらない日本企業

鈴木 智子

鈴木 智子

一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻(一橋ICS) 准教授
日本ロレアル株式会社、ボストン・コンサルティング・グループに勤務した後、一橋大学大学院国際企業戦略研究科(一橋ICS)修士(MBA)、同博士後期課程(DBA)を修了し、博士(経営学)を取得。その後、京都大学大学院経営管理研究部特定講師、特定准教授を経て、2017年より現職。主な外部委員等:株式会社ローソン社外取締役、日本ペイントホールディングス株式会社アドバイザー、日本マーケティング学会理事など。国内外の学術雑誌で、多数の研究論文を発表。主な著作に、『イノベーションの普及における正当化とフレーミングの役割 ―「自分へのご褒美」消費の事例から』白桃書房(2013)がある。

戦後の高度経済成長期、日本企業は電化製品や自動車など次々と新しい商品を開発し、顧客に様々な価値を提供してきた。しかし日本経済が成熟期を迎えてから、企業は新たな顧客価値を創造することがより求められている。その中でマーケティングの重要性が高まっている。

「日本では、マーケティングというとマーケティング・コミュニケーション(宣伝広告)のイメージが強いですが、マーケティングの本質とは、顧客価値の創造、提供、維持です。今の日本経済のように成熟期を迎えると、経済成長期とは全く違った戦い方が必要になります。それは、企業の中で価値をどう生み出せるかです。そして、その価値は顧客から見れば、差別化された価値でなければなりません。その糸口となるマーケティングを学ぶ意義は増々重要になっています」と、一橋大学大学院の鈴木智子准教授はこう話す。

マーケティングの本質が日本で普及しない背景には、経営者やシニア層がマーケティングを経営上重要な機能とは捉えてこなかった点を鈴木氏は指摘する。ただ、近年は少し…

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