産業界出身の教員を後押し 実学教育を支える仕組みづくり

多摩大学は実学教育を重視し、開学以来、産業界で活躍する多数の人材を教壇へ登用してきた。それは、どのようにして実現されてきたのか。実学教育を機能させるための仕組みづくり、教員の活用施策や能力開発、勤務体制の工夫について、多摩大学・今泉忠教授に話を聞いた。

産業界から多数の人材を登用、実学教育を実践する

──多摩大学は開学以来、教育重視の大学として発展してきました。実務家教員の活用については、どのように進められてきたのですか。

今泉 忠

今泉 忠

多摩大学 経営情報学部
大学院経営情報学研究科 教授
立教大学社会学部産業関係学科卒。立教大学大学院社会学研究科応用社会学専攻博士前期課程修了(社会学修士)。東京工業大学大学院総合理工学研究科システム科学専攻博士後期課程単位取得満期退学。青山学院大学理工学部経営工学科助手を経て、多摩大学助教授・大学院助教授。1995年、多摩大学教授・大学院教授。2001年より経営情報学部学部長を経て現職。多摩大学において FD 推進の責任者も務めた。日本分類学会会計監事。

まず、多摩大学では「実務家教員」という括りで捉えて、教員の登用・活用を考えてきたわけではありません。出身が実務家であったとしても、その教員がいつまでも実務家であるわけではなく、アカデミズム出身の教員と一緒に教育研究に従事するメンバーであり、同じ大学教員です。

多摩大学は1989年の開学時に「国際性」「学際性」「実際性」の3つを基本理念に掲げました。当時、「実務」などの表現はあまり一般的でなく、初代学長の野田一夫先生は「実際性」という言葉で実学重視の方針を示しました。そして、多摩大学は産業界で活躍する人材を教壇へ多数登用しました。日本でいち早く実学教育を実践したことで、実務家出身の優秀な人材を集めることができたのです…

(※全文:2402文字 画像:あり)

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。