実務家教員は大学の内と外をつなぐ 大学内での関係づくりも重要

実務家教員の役割の1つは、民間企業での経験を大学の内側に持ち込み、それを授業という形で「再文脈化」すること。そのように語る山梨学院大学・児島功和准教授は、大学教員だけでなく専門学校教員についても調査研究しており、実務家教員の実態把握を進めている。

職業現場での経験を、授業という形で「再文脈化」

――「実務家教員」と「アカデミズム教員」を分けることの意味、両者の違いについて、どのように見ていますか。

児島 功和

児島 功和

山梨学院大学 学習・教育開発センター 准教授
1999年、法政大学 社会学部を卒業。2001年、東京都立大学大学院 人文科学研究科 教育学専攻(修士課程)修了。2010年、同大学院 教育学専攻(博士課程)単位取得満期退学。日本社会事業大学 特任助教、岐阜大学 特任准教授を経て、2015年山梨学院大学 経営情報学部/学習・教育開発センター 特任准教授、2018年同准教授。共著に『わかる・役立つ 教育学入門』(大月書店)、『危機のなかの若者たち―教育とキャリアに関する5年間の追跡調査』(東京大学出版会)、『反「大学改革」論―若手からの問題提起』(ナカニシヤ出版)など。

実務家教員とアカデミズム教員という括りは、実はそれほど簡単ではないと考えます。例えば、修士号や博士号を取り、民間の研究所で働いてから大学教員になった場合、大学外での就労経験がある点では実務家教員とも言えますが、大学院で学び、学位まで取得しているという点ではアカデミックな経歴を持っている教員とも言えます。いわゆる理系の大学教員の場合、こうした層は一定いるはずです。「実務家教員/アカデミズム教員」という括りは、例えば博士号を取得後に民間企業で働くといったキャリアパスが一般的とは言い難い人文・社会科学系分野を前提にしています。

他方、別の意味でも実務家教員とアカデミズム教員という括りが難しくもなっています。FD(教員の能力開発)担当者、IR(学内教学データの収集・分析)担当者、キャリア支援・教育担当者、産官学連携コーディネーター等の...

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