職業経験を「教育」に活かすには? 実務家教員の教材と教授法

企業や官庁など職業経験を有することが、逆に教育者としての成長を妨げる恐れもある。実務家が自らの経験を大学教育で活かすためには、何が重要になるのか。能動的な学びと成長を促進する教育・学習環境のデザインについて研究する関西大学・山田剛史教授に話を聞いた。

実務家教員を活用し、社会のニーズに応える教育を

――近年、実務家教員の登用が促進されています。大学教員が職業経験を有することの意義について、どのように見ていますか。

山田 剛史

山田 剛史

関西大学 教育推進部 教授
1977年生まれ。2000年、関西外国語大学 外国語学部英米語学科を卒業。2002年、大阪教育大学大学院 教育学研究科 学校教育専攻 心理学専修修了、修士(教育学)。2005 年、神戸大学大学院 総合人間科学研究科 人間形成科学専攻 発達基礎論講座修了、博士(学術)。島根大学、愛媛大学、京都大学などを経て、2020年10月より現職。

目まぐるしい社会変化が起きている VUCA(変動、不確実、複雑、曖昧)時代にもかかわらず、大学では従来どおりの知識伝達型の授業が数多く行われています。

学生は座学的な知識や理論を一生懸命に勉強しますが、いざ社会に出ると、大学で覚えたことが通用しない状況に直面する。社会が求めるのは課題解決力や行動力、能動性などであり、社会のニーズと大学で提供されている教育とのギャップが、今まで以上に大きくなっていると感じています。

こうした中で職業経験を有する教員の存在は大学教育のアップデートにつながる可能性があり、私は実務家教員の登用促進の流れを...

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