実務家教員だからこその役割とは 「3年で辞めない学生」の育成

この10年程、新規学卒者の就職後3年以内の離職率は3割強で推移している。城西大学の佐藤一郎客員教授は、実務家教員に求められる役割とは、自らの職業経験を活かして「卒業後の早期離職」を減少させる動機づけに貢献することであり、新たな教育実践の方法を提案する。

職業現場の実情を伝えることが、実務家教員の新たな役割

──実務家教員が担うべき役割について、どのように見ていますか。

佐藤一郎

佐藤一郎

城西大学 現代政策学部 客員教授
修士(金融経済)。1955年生まれ。東京外国語大学外国語学部を卒業し、協和銀行(現りそな銀行)に入行。南阿佐谷・青戸支店の支店長を歴任。2002年、あさひ銀行(現りそな銀行)を退職。NPO 金融イノベーション会議 事務局次長などを経て、2006年~11年、城西大学 現代政策学部 客員講師。2010年、専修大学 経済学研究科 修士課程修了。2011年~、城西大学 現代政策学部の准教授、教授を務める。2021年4月より現職。

2020年4月から導入された高等教育の修学支援新制度(いわゆる「高等教育無償化制度」)では、この制度を受け入れる大学は、実務家教員による授業を指定時間数組み入れることが義務付けられています。

実務家教員の登用が促進され、職業現場での経験を大学で活かすことが期待されていますが、専任教員に就任して2~3年も経つと実務家時代の経験だけには頼れなくなり、アカデミック教員と同様の土俵での評価も求められます。しかし、実務家教員が学術的な側面でアカデミック教員と伍していくのは簡単ではないでしょう。そうした中で、アカデミック教員には教えられない、実務家教員ならではの教育実践が重要になります。

実務家教員の役割を一律に述べることはできませんが…

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