実務家教員のキャリアパスの課題 学問分野ごとの検討が必要に

なぜ実務家教員が必要なのか。期待される役割や能力が曖昧であることは、キャリアパスの不安定化にもつながる。そうした中で実務家教員には、自らキャリアを開拓する能動性が求められる。

大学だけでなく産業界を含めて、流動性に乏しい日本の雇用慣行

──大学教員をめぐるキャリアパスの課題について、どのように見ていますか。

二宮 祐(にのみや・ゆう)

二宮 祐(にのみや・ゆう)

IT 企業や人事コンサルティング企業を経て、2008年一橋大学 大学教育研究開発センター専任講師。2014年、日本工業大学 工学部共通教育系 専任教育講師。2016年、茨城大学 地方創生推進室 講師。2017年2月より群馬大学 学術研究院 准教授。共著に『文系大学教育は仕事の役に立つのか』、『反「大学改革」論:若手からの問題提起』など。

日本の大学改革は主にアメリカを参考にして進められていますが、日本とアメリカの大学では雇用環境が大きく異なり、アメリカでは大学教員が民間企業や研究機関、行政機関などに転身するのは珍しいことではなく、大学外へのキャリアパスが存在しています。

しかし日本の場合、特に人文・社会科学系などの教員が大学外へと移るのは、あまり一般的ではありません。これは大学だけの問題ではなく、そもそも日本の雇用慣行として同じ組織で長く働くのが望ましいとされ、短期間でいろんな職場を経験するのは好ましくないと思われてきたことが背景にあると思います。大学だけに焦点を当てて教員のキャリアパスの問題を考えようとしても…

(※全文:2299文字 画像:あり)

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