実務家教員の活躍の場は拡大、世界の潮流から読み解く

現在、世界的に大学教員のあり方は変化しており、職務の多様化、教員・職員のボーダレス化、地位・役割の分化が進んでいる。東北大学の大森不二雄教授は、こうした変化は実務家教員のチャンス拡大につながると語り、産学間における人材と知の往還を先導する役割を実務家教員に期待する。

大学教員の多様化が進展、実務家教員にとっては追い風に

──大学教員をめぐる人材マーケットの現状について、どのように見ていますか。

大森 不二雄

大森 不二雄

東北大学 高度教養教育・学生支援機構 教授
大学教育支援センター長
1959年生まれ。Ph.D.(ロンドン大学教育研究所、2008年)。文部科学省にて国境を越える高等教育の質保証政策等の行政経験を経て、2003年7月より熊本大学 大学教育機能開発総合研究センター教授。首都大学東京を経て、2016年より東北大学 高度教養教育・学生支援機構 教授。研究分野は、高等教育、教育政策、教育社会学。

近年、世界的な趨勢として大学教員の多様化が進んでいます。具体的には教員・職員のボーダレス化が進展し、リサーチ・アドミニストレーター、ファカルティ・ディベロッパー、インストラクショナルデザイナー、産学連携コーディネーターなど、伝統的な教員・職員の区分には収まらない「第3の職種」が増えています。

日本の場合、「第3の職種」は教員とされることが多く、任期付き特任教員が担当したりしていますが、海外では多くの場合、教員とは別のプロフェッショナルの職員と位置付けられています。

また、多様化の1つとして「teaching only」、つまり教育専念教員とも言うべき大学教員も…

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