【教育効果を高める】「教員は学生にとってただ一人の先生」という本質

実務家教員の強みの一つは、その専門分野におけるさまざまな利害関係者との出会いの多さであり、その経験がもたらす「生々しさ」は、学生に教えるうえでも有用となる。簿記会計の新たな教育手法を試みている昭和女子大学、加納輝尚准教授にビジネス実務教育について話を聞いた。

実務経験があるからこその、深みや説得力

──産業界出身の大学教員の可能性について、どのように見ていますか。

加納 輝尚

加納 輝尚

昭和女子大学 グローバルビジネス学部
会計ファイナンス学科 准教授
税理士
商学修士。1995年、京都府立大学農学部卒業。税理士法人勤務、独立などを経て、2019年4月より現職。編著に『現代簿記会計の基礎』(中央経済社,2020)など。

私の場合、専門は「税務会計」ですので、その分野を中心にお話しいたします。

税務や会計は社会科学の中でも、とりわけ理論と実務とのせめぎ合いが顕著で変化が激しい分野です。例えば税務実務では、毎年目まぐるしく変化する税法改正の動きを迅速にとらえ、なぜそのような改正がなされるに至ったのかの見解を自分なりに持ち、法改正が影響を及ぼすさまざまな利害関係者を意識して仕事をすることが求められます。したがって、実務を経験した教員はその感覚がしみ込んでいますので、ある一つの制度を学生に説明する際にも…

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