「実務家教員」を区分する意義とは? 問われる教育能力と質保証

大学教員の資質要件について研究し、文科省の各種委員も務めた冨田福代教授は、将来的には「実務家教員」「研究者教員」という区分自体が無くなり、教員個人の自己研鑽や能力開発が問われると語る。そして、個人の努力に頼るだけでなく、組織的な取組みが必要になると説く。

教師教育においても、実務経験は大きな意義

──冨田先生は、実務家教員の資質要件について研究されてきました。実務家教員の重要性について、どのように見ていますか。

冨田 福代

冨田 福代

岐阜聖徳学園大学
外国語学部・大学院国際文化研究科 教授
博士(Ph.D.)、ロンドン大学教育研究所博士課程修了。東京大学大学院 教育学研究科博士課程単位取得満期退学。1977年~1990年、岐阜県公立学校教諭。その後、イギリス留学、関西国際大学、大阪教育大学等を経て、2018年4月より現職。2008年~2011年、文部科学省「教職大学院特別審査会」専門委員。2015年~2016年、文部科学省 大学設置・学校法人審議会大学設置分科会教職大学院専門委員会 委員他。

近年、様々な分野で実務家教員の登用が促進されていますが、私は教師教育が専門ですので、その分野における実務家教員についてお話しします。

専門職大学院の設置など、日本における高度専門職の人材養成の機能強化は、医療分野から法曹界、そして教職へと拡大され、2008年に教職大学院が設立されました。他分野の専門職大学院では専任教員のうち3割以上は実務家教員を配置することとされましたが、教職大学院では4割以上と定められています。その意味で、教師教育における実務家教員は他の分野以上に重要視されていると言えます。

私自身、教職大学院で教育研究に従事し、文部科学省「教職大学院特別審査会」の…

(※全文:2160文字 画像:あり)

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。