『教師の仕事がAIで変わる!さる先生のChatGPTの教科書』

『教師の仕事がAIで変わる!さる先生のChatGPTの教科書』

『教師の仕事がAIで変わる!
さる先生のChatGPTの教科書
坂本 良晶 著/116頁/1900円+税/学陽書房

対話型生成AIのChatGPTが話題だ。「仕事のスピードが爆速に!もう手放せない」。既に使い始めている人からはそんな声が聞こえる。だが一方で、教育関係者のなかには、自分の仕事への活かし方がイメージできず、試すことさえためらっている人もいるだろう。そんな読者にうってつけなのが、教育現場でのChatGPT活用法に特化した本書だ。

学校教員の業務は担当教科の指導だけではない。特に小学校の教諭であれば、あらゆる教科を教えなくてはならない上、児童の作文の添削、定期的な席替え、毎年の時間割作成、運動会や遠足といった行事の準備など、ありとあらゆる校務に追われていることだろう。著者もその一人だ。「さる先生」の愛称で知られる著者は、現役の京都府公立小学校教諭。日々試行錯誤をしながら、教育現場におけるChatGPTの活用法を磨き上げてきた。本書には、そのワザが惜しげなく披露されている。

例えば算数の時間。子どもが興味を持つようポケモンを題材にした文章問題をつくるとしよう。ChatGPTに対して、「ポケモンを題材にした算数の文章問題をつくって」と指示を出すだけでは良い結果は得られない。著者のお勧めは、「小学1年生向けの」と学年を明確にすること、さらにその場合、「すべての文字をひらながなで」と指定することだ。大人にとって、ひらがなばかりの文章はつくりづらいものだが、ChatGPTなら迷うことなく書き上げてくれる。

あるいは、テストの点数によって児童生徒のABC評価が出る表をつくりたいとしよう。Excelが得意な人なら自分でつくれるかもしれない。だが、表計算までが精一杯という人も多いはず。そんなときは、条件を指定してChatGPTにExcel関数をつくってもらえばいい。生成された関数をExcelにペーストすれば、あっという間にABC評価ができ上がる。

このように、授業準備から学級経営、校務まで、教育現場のさまざまなシーンにおけるChatGPTの活用方法が、フルカラーで豊富な図版とともに手取り足取り解説されている。ITに苦手意識を持つ人にも非常にとっつきやすい入門書だ。

教師の仕事のあり方、ひいては教育そのものを根幹から変える可能性を持つ生成AI。いつまでも食わず嫌いをしていてはもったいない。著者は言う。「『教師はブラック』という闇をふり払う魔法の杖になり得る存在、それがChatGPTだ」と。その力強い言葉を信じ、ぜひ臆せずに挑戦してみたい。

新刊一覧

●教育学

「省察」を問い直す
教員養成の理論と実践の検討
山﨑 準二、高野 和子、浜田 博文 編/264頁/2800円+税/学文社

レリバンスの構築を目指す
令和型学校教育

關 浩和、吉川 芳則、河邊 昭子 編著/410頁/3800円+税/風間書房

●学校教育一般

「生涯にわたって能動的に学び続ける力」
を養う教科教育への挑戦

加固 希支男 著/176頁/1900円+税/東洋館出版社

あの授業だけは取るな!
「解」のない世界で活躍できる究極の学び:
「蛙学への招待」とは何か?
鈴木 誠 編著/216頁/2000円+税/共同文化社

対話ドリブン
五木田 洋平 著/216頁/2000円+税/東洋館出版社

追いつめられる教師たち
齋藤 浩 著/200頁/1500円+税/草思社

子どもたちへの心理支援
学校と外部支援者の連携サポートブック
熊谷 恵子 監修、三井 菜摘 著/192頁/1900円+税/東京書籍

●学級経営

学級経営のモヤモヤについて、
現場教員がとことん考えてみた。

八神 進祐 編著/192頁/1900円+税/明治図書出版

●高等教育

現代社会を拓く教養知の探究
教養教育研究会 編/224頁/2800円+税/晃洋書房

●ICT

教室ギア56
アナログとデジタルをベストミックスする
最強アイテム
鈴木 優太 著/132頁/2000円+税/東洋館出版社

EdTechで創る未来の探究学習
山内 祐平、池尻 良平、澄川 靖信 著/176頁/2000円+税/明治図書出版

●幼児教育

虹色なこどもたち
就学前にやっておきたい特性理解と支援
星山 麻木 著、相澤 るつ子 イラスト/64頁/2000円+税/世界文化社

●特別支援教育

発達が気になる子の「できた!」を引き出す
教師の言葉かけ
佐藤 義竹 著/128頁/1800円+税/学陽書房

知的障害と発達障害の子どもたち
本田 秀夫 著/240頁/900円+税/SBクリエイティブ

●人材育成・マネジメント

部下との対話が上手なマネジャーは
観察から始める

ポリヴェーガル理論で知る心の距離の縮め方
白井 剛司 著、八谷 隆之、吉里 恒昭 監修/304頁/1800円+税/日本能率協会マネジメントセンター

「人の器」を測るとはどういうことか
成人発達理論における実践的測定手法
オットー・ラスキー 著、加藤 洋平 訳、中土井 僚 監訳/488頁/3500円+税/日本能率協会マネジメントセンター

●その他

使える!予習と復習の勉強法
自主学習の心理学
篠ケ谷 圭太 著/224頁/880円+税/筑摩書房

部活動は日本の強み
中学受験をして本当によかったのか?
10年後に後悔しない親の心得
小山 美香 著/232頁/1600円+税/実務教育出版

注目の一冊

『世界基準の英語力 全国トップクラスのさいたま市の教育は何が違うのか』

『世界基準の英語力
全国トップクラスのさいたま市の教育は何が違うのか』
細田 眞由美 著/344頁/1800円+税/時事通信出版局

学校英語は役に立たない。そんな「常識」はもはや過去のものかもしれない。埼玉県さいたま市では、公立中学3年生の9割近くが英検3級を取得。学校の勉強だけで、身近な英語を理解して使えるレベルに到達することが証明された。

「英語は世界を見る窓」との信念を持ち、英語教師として教鞭をとっていた前教育長が、単なる言語の運用にとどまらず、「グローバル社会を生き抜く力」を重視した「さいたまメソッド」を全公開。家庭向けのアドバイスも豊富で、教育者以外にも勧めたい。