バイオ分野でニーズが高まるバイオインフォマティクスとは?

生物由来の情報のデータ化が進み、AIやITの活用が融合することで、バイオインフォマティクス人材への期待が大きく高まっている。人材育成を支援するバイオインフォマティクス学会理事の有田正規教授と白井剛教授に、どういう学びが必要か、教育機関の現状などお話しを伺った。

深刻な人材不足が指摘される
バイオインフォマティクス人材

有田 正規

有田 正規

日本バイオインフォマティクス学会理事
国立遺伝学研究所教授
国際塩基配列データベース連携INSDCを構成するDDBJセンター長。理研環境資源科学センターでメタボロミクス研究も手がける。日本学術会議等でも人材育成に注力。

白井 剛

白井 剛

日本バイオインフォマティクス学会理事
長浜バイオ大学教授
2010年より実行委員や委員長としてバイオインフォマティクス技術者認定試験に参画。コンピュータバイオサイエンス学科および滋賀大学データサイエンス学部(兼務)で長年バイオインフォマティクス教育に関わる。

コロナ禍では、ワクチン開発のスピードが大きな関心を集めた。その背景には、ゲノム(遺伝情報)解読やゲノム編集といった技術革新に加え、AI/ITの活用によるバイオテクノロジーの進展がある。例えばワクチン開発では、ウイルス自体のゲノム配列が分かれば、危険なウイルス自体を扱わなくとも、ワクチンの設計・製造が可能になっている。

こうした創薬分野に限らず、技術革新によるバイオ分野への期待が高まる中、バイオインフォマティクス人材のニーズが高まっている。バイオインフォマティクス(以下「BI」)とは、生命現象に対してコンピュータを使用して研究する学問分野だ。日本語だと生物情報科学や情報生命科学といった呼称となる。

BIは膨大なゲノムデータを解析して病気のメカニズムを明らかにしたり、タンパク質の形や動きを詳しく調べて治療薬を開発したり、コンピュータの中で生命のネットワークやシステムをシミュレーションする等、今後のバイオ分野の研究や産業で重要な役割を果たすことが期待されている。

日本バイオインフォマティクス学会は、BI分野の人材育成を目的に、「バイオインフォマティクス技術者認定試験」(以下、「BI技術者認定試験」)を2007年から実施。BI技術者認定試験は、生命科学と計算科学にまたがるBI分野において、合格者が基礎から先端までの基本知識を有し、…

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