第二次量子革命における日本の量子教育の課題と現状

政府が「量子技術イノベーション戦略」を策定し、取組みを加速させる一方、量子人材の不足が指摘されている。量子分野を発展させていくためには、人材の育成は急務だ。量子技術の可能性や日本の量子教育の課題や現状について、OISTの根本香絵教授に話を伺った。

20世紀的な量子教育から
21世紀的な量子教育への移行を

根本 香絵

根本 香絵

沖縄科学技術大学院大学 量子情報科学・技術ユニット 教授
国立情報学研究所量子情報国際研究センター長および日仏情報学連携研究拠点共同所長を兼任、量子ICTフォーラム副代表理事。量子コンピュータ、量子誤り訂正、量子ネットワーク、量子インターネットなど量子科学・技術の最先端研究に携わる理論物理学者。米国物理学会及び英国物理学会フェロー。

──量子研究・教育において、日本が抱える課題は何でしょうか。

根本 日本は量子力学を応用する半導体産業や光産業といった第一次量子革命で強みを発揮し、経済成長を牽引してきました。一方、量子力学を生み出したヨーロッパ圏や米国では、その間にも量子の性質はどう捉えうるのかといった基礎的な部分の議論を引き続き積み重ね、共有してきました。

日本は量子力学をいわば輸入し、応用の面では、非常に成功したといえると思います。しかし、量子への理解が、その基礎から本当に進んでいったのか、という点については疑問が多く残るように感じます。現在、量子コンピュータや量子通信といった量子力学の性質を積極的に用いることで初めて可能となる技術の創出、つまり第二次量子革命に注目が集まっています。新しい分野に挑戦する時は、本質を問い直すことが重要ですが、…

(※全文:4000文字 画像:あり)

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