海とヒトとを学びでつなぐ次世代の海洋教育とは?

日本は海に囲まれた島国だが、教育現場では、いわゆる海洋教育はあまり普及していない。「海とヒトとを学びでつなぐ」をテーマに学校向けの海洋教育プログラムを提供する一般社団法人3710Lab(みなとラボ)代表理事の田口康大氏に、海洋教育の意義や取組みを聞いた。

水産や防災だけが
「海洋教育」ではない

田口 康大

田口 康大

一般社団法人3710Lab代表理事
東京大学海洋教育センター特任講師
1983年、青森県生まれ。秋田県を経て、宮城県出身。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。2013年、東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センターに特任講師として着任。教育学・教育人間学を専門とし、人間と教育との関係について学際的に研究している。現在は、学校の授業デザインや、学校を軸にした地域づくりに取り組み、新しい教育のあり方を探求している。座右の銘は、ゆっくり急げ(Festina lente)。

近年、海洋教育の重要性の認識が広まっている。背景には、地球温暖化や海洋プラスチック問題、SDGsへの関心により、ユネスコにより「国連海洋科学の10年」が宣言され、世界規模で海洋教育の普及活動が展開されていることがある。また、日本では、学習指導要領の改訂にて、「総則」に「現代的な諸課題に関する教科等横断的な教育内容」として「海洋に関する教育」が明記されたことも挙げられるだろう。

こうした状況に対して、「学習指導要領の中に、海洋教育が明確に位置づけられたことは大きな一歩。ですが、授業で扱われるのは国土や水産業など、テーマは限定されているのが現状です。海洋基本法の理念である『海洋と人類の共生』という重要な視点は盛り込まれていないため、海洋教育が推進されているとは言い切れません」と、3710Lab(以下「みなとラボ」)代表理事の田口康大氏は…

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