「余白」がクリエイティビティを誘発する、武蔵野美術大学16号館

2021年度グッドデザインを受賞した「武蔵野美術大学16号館」は、作り込みすぎない未完の建築を目指し、新しい未来を切り開いた画期的なデザインだ。学生と教員が自らつくり続ける校舎であり、校舎自体が想像力をかき立てる教材と言えるだろう。

矢島 進二(やじま・しんじ)

矢島 進二(やじま・しんじ)

公益財団法人日本デザイン振興会常務理事。1962年東京生まれ。1991年に現財団に転職後、グッドデザイン賞を中心に多数のデザインプロモーションに従事。東海大学、九州大学、武蔵野美術大学等で非常勤講師。

グッドデザイン賞では保育園から大学まで毎年多くの教育関連の建築の応募が集まる。教育現場のクオリティを高める必要性とともに、本格的な少子化を迎え、学校のビジョンの可視化、すなわちブランディングという意味合いでデザインを重視するケースが急増している。

また、コロナ禍となり学ぶ環境が大きく変化せざるを得ないが、今後どのように環境を整えるべきかの解は、まだ誰もがもっていないのが実相だ。

とは言え、コロナ禍という理由だけで新しい施設の設計や改修を止めることは出来ない。そうなると前提条件として設定すべきことは、最大限の「余白」をもった設計をすることかもしれない。

(※全文:1154文字 画像:あり)

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