園庭のデザインから教育を考える「ASOBIO」の活動

株式会社スマートエデュケーションが展開する、画一化された運動場にかわって自然と関わりをもつ機能を多く取り込む園庭を創る活動「ASOBIO(アソビオ)」が、2024年度グッドデザイン賞を受賞した。

矢島 進二(やじま・しんじ)

矢島 進二(やじま・しんじ)

公益財団法人日本デザイン振興会常務理事。
1991年に現財団に転職後、グッドデザイン賞を中心に多数のデザインプロモーションに従事。九州大学、武蔵野美術大学等で非常勤講師。

持続可能な社会の実現という課題に直面する現代、その解決の鍵は未来を担う子どもたちの教育環境にある。かつて日本の子どもたちは、遊びを通して、近隣の自然とのかかわりの中で育つことが当たり前であった。しかし戦後、幼児教育施設の普及とともに画一的なスタイルが広がり、園庭は学校の校庭のように「運動場化」してしまった。今も単に遊具を配置しただけの園庭が、全国各地で多く見られる。

園庭環境を見直す機運は各地で起き始めているが、変えることができないという先入観や、自然環境を整備する手間の問題で普及には至っていない。このような状況に一石を投じるのが、スマートエデュケーションが展開する「ASOBIO」だ。自然の不思議さ・面白さ・美しさに触れ合う空間を、全国の幼稚園・保育所・認定こども園の園庭に創る活動としてスタートしたこのプロジェクトは、独自の事例として注目を集めている。

「ASOBIO」は、「あそび」と「ビオトープ」を組み合わせた造語で、子どもたちの遊びの中に自然の生態系を織り込む、現代らしいホリスティックなアプローチからきている。ビオトープ発祥の地ドイツでは、園庭にビオトープを取り入れている幼稚園がたくさんあるという。

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