『未来の授業 SDGs×ライフキャリア探究BOOK ─アレックス、楽しく歩きたくなるまちを考える編』

『未来の授業 SDGs×ライフキャリア探究BOOK』─アレックス、楽しく歩きたくなるまちを考える編』

『未来の授業 SDGs×
ライフキャリア探究BOOK』

─アレックス、楽しく歩きたくなるまちを考える編』
佐藤 真久 監修、NPO法人ETIC. 編集協力/128頁/1800円+税/宣伝会議

2030年までに達成すべき目標であるSDGs(持続可能な開発目標)。教育現場でも関連する取り組みは増えているが、17の目標を真に自分ごととして捉えるのは容易ではない。本書は主に中学生・高校生を対象に、身近な課題からSDGsを理解し、行動につなげるきっかけをつくろうと編まれたシリーズの最新刊である。

未来の授業シリーズとしては第7弾、「SDGs×ライフキャリア探究」シリーズとしては3冊目となる今回のテーマは「楽しく歩きたくなるまち」。直感・行動タイプのけんた、アイデア実践タイプのゆみ、価値・意義重視タイプのみのり、理論派タイプのアレックスという個性的な4人は、バスの本数が少ないまちを訪れたことをきっかけに、「移動と交通」の重要性に気づく。そこから、年齢やジェンダー、障がいの有無に関係なく、誰もが生き生きと暮らせる快適なまちづくりについて考えを深めていく。謎のSDGs博士も健在で、随所で4人にSDGsや社会課題についてのレクチャーと問いを投げかける。

SDGsの基本を押さえる第1章に続き、第2章では日本国内に存在する課題が31の切り口で整理されている。先進国のわりに高い相対的貧困率、日本でも顕在化する食料問題、膨張する社会保障費、老朽化が進むインフラなど、私たちにとって無縁ではないテーマばかりだ。

第3章と第4章では、課題解決に向けた具体的な取り組みが紹介される。車いすでも行ける場所がわかるバリアフリーマップを開発した認定NPO法人ウィーログ、ガシャポン®のカプセルのリサイクルを進めるバンダイナムコグループ、工場で出る端肉を活用した特製カレーを子ども食堂に届けるとんかつ専門店の「まい泉」など、意欲的な組織の担当者が顔写真付きで実名登場する。思いが伝わる誌面構成も印象的で、SDGsを大切にする働き方に関心のある読者なら引き込まれるだろう。

各章には「SDGsチャレンジストーリー」も収録されている。その1つでは、4人が「まち歩きワークショップ」に参加し、伝統工芸の窯元が立ち並ぶエリアの道が焼き物のカケラでできていることを知る。かつて職人や天秤棒を担いだ商人が行き交ったまちの姿に思いを馳せ、まちの歴史と移動が密接につながっていることに気づいていく。

巻末の「教材としての本書の活用方法」ではUNESCO(国連教育科学文化機関)が示した「ESDレンズ」や「持続可能性キー・コンピテンシー」にも触れられる。子どもの探究活動を支える視点を整理し直したい教員にとっても実用性が高い。

新刊一覧

●学校教育一般

学校づくりの核になる校長通信の極意
西村健吾 著/144頁/1960円+税/
明治図書出版

子どもが本気になる話し合い
令和型 討論の授業
武田 晃治 著/252頁/2100円+税/
東洋館出版社

みんなが幸せになる校長の
「ごきげん革命」
住田 昌治 著/224頁/2200円+税/
教育開発研究所

教育再生!「21世紀型の学校とは」
―コミュニティの中核としての学校は
どうあるべきか―
大竹 弘和 著/216頁/2500円+税/
ぎょうせい

教職エンパワーメント
浜田博文 著/392頁/2700円+税/br /> 東洋館出版社

●学級経営

やっかいなことにならないために!
学級づくり・授業づくりのヒヤリハット
77&その解決法

松井 透 著/93頁/1720円+税/
黎明書房

●幼児教育

「愛と知の循環」としての保育
世界を愛することを学ぶ
無藤 隆 著/432頁/3000円+税/
北大路書房

職員みんなで育てよう
新人保育者がグングン育つ
場面別「かかわり方のさじ加減」

菊地 奈津美 河合 清美 著/136頁/
2000円+税/中央法規出版

●高等教育

関関同立
─関西の四大私大事情
小林 哲夫 著/368頁/1200円+税/
筑摩書房

アカデミック・スキルズ(第4版)
AI時代の知的技法入門
佐藤 望 編著、湯川 武 、横山 千晶、
近藤 明彦 著/216頁/
1200円+税/慶應義塾大学出版会

●特別支援教育

発達障害・知的障害のある子どもの
不安やイライラをやわらげる方法

石本 雄真 山根 隆宏 著/174頁/
2500円+税/学苑社

●人材育成・マネジメント

組織の違和感
結局、リーダーは何を変えればいいのか?
勅使川原真衣 著/288頁/1700円+税/
ダイヤモンド社

マネジメントの原点
協働するチームを作るためのたった1つの原則
堀田創 著/240頁/1800円+税/
東洋経済新報社

なぜ、あの社長には
優秀な人材が集まるのか

超一流のリーダーの言葉の設計図
金山 亮 著/248頁/1600円+税/
イースト・プレス

任せるの壁
プレイングマネジャーを卒業する5つの思考法
竹下 綾美 著/296頁/1700円+税/
SBクリエイティブ

ゼロからはじめる
チームプロジェクトマネジメント

理論だけで終わらない
「現場で必須」の基本&実践ノウハウ
森實繁樹 著/296頁/2000円+税/
インプレス

●その他

あなたの一生を支える
世界最高峰の学び

飯田史也 著/264頁/1800円+税/
日経BP

注目の一冊

『先行き不透明な時代を生き抜くための探究学習への提言』

『先行き不透明な時代を
生き抜くための探究学習への提言』
渋谷 一典、杉本 任士、渡邉 信隆 編著、
北海道教育大学チーム探究 著/224頁/2000円+税/中村堂

探究学習の研究が盛んだが、理論だけで語ると、抽象的な概念や教育モデルの枠に収まりがちである。そこで本書は、異なる専門性を持つ執筆陣の多様な視点を活かし、「探究学習がどのように見えるのか」「どのように支えられるのか」を丁寧に描き出す。つまり、「複眼的な探究学習の見取り図」を提示しようとする試みだ。

探究学習とは、子どもと教師の関係の手触りであり、ともに迷いを引き受ける姿勢であり、時間をかけて紡がれる学びのリズムである。この思いに導かれ、探究学習を探究してみたい。