香川大学長 創発を起こし、持続可能な地方分散型の社会へ

香川大学は独自のDRI(デザイン思考、リスクマネジメント、インフォマティクス)教育を推進し、研究面においては、産官学によるオープンイノベーションに力を注いでいる。香川大学の教育研究の方向性と目指すビジョン、未来像について、筧善行学長に話を聞いた。

独自の「DRI教育」を全学展開、
デザイン思考を育む

筧 善行

筧 善行

香川大学長
1954年生まれ。1981年、京都大学医学部を卒業。1989年、京都大学大学院医学研究科博士課程を修了。京都大学助教授などを経て、2001年に香川医科大学(2003年に香川大学と統合)医学部教授。2017年10月に香川大学長に就任。

──香川大学では、どのような教育に力を注がれていますか。

現在、新たな価値創造に向けた「DRI教育」に力を入れています。DRIとは、イノベーションを創出する「デザイン思考」、レジリエンスやセキュリティなどに資する「リスクマネジメント」、デジタル社会を生きるための「インフォマティクス」の3つの頭文字を取ったものです。

このうち、特にデザイン思考を取り入れるうえで大きかったのは、2018年に行った工学部の改革です。バブルが崩壊して以降、日本のモノづくり産業はかつての輝きを失いました。その要因の1つは、技術的な機能の充実ばかりが先行し、利用者にとっての使う楽しさなど、ユーザー視点のニーズを軽視したことです。その背景として、工学教育についても課題がありました。

本学において、かつての工学部は4学科に分かれ、専攻分野を横断する交流はほとんどありませんでした。しかし、…

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