琉球大学 アジア・太平洋地域の卓越した教育研究拠点に

戦後復興の中で、沖縄の人材育成の拠点として開学した琉球大学。21世紀型市民の養成、COIL 型教育、熱帯生物の研究など、沖縄ならではの教育・研究に取り組む。各国と交流し懸け橋(万国津梁)となった琉球王国の精神を継ぐ同大学の教育について、西田睦学長に聞いた。

戦後灰燼に帰した首里城跡に、地元の熱意で建学

──琉球大学の基本理念「真理の探求」「地域・国際社会への貢献」「平和・共生の追求」は、どのように制定されたのでしょうか?

西田 睦

西田 睦

国立大学法人琉球大学 学長
1972年、京都大学農学部 卒業。1977年、同大学院農学研究科博士課程 単位取得(1983年農学博士)。1980年、琉球大学理学部 助手。カリフォルニア大学バークレー校 客員研究員、福井県立大学生物資源学部 助教授、東京大学大気海洋研究所 教授・所長を経て、2013年、琉球大学 理事・副学長に就任。2019年より現職。

まずは、本学の成り立ちについてお話するとわかりやすいと思います。琉球大学は、亜熱帯の生態系に囲まれた島嶼域の沖縄県にあります。また、特色ある歴史と文化を育んできた場所ですが、第二次世界大戦では住民の約4分の1という非常に多くの方が犠牲になりました。特に、軍司令部が一時、置かれていた首里の地は灰燼に帰したのです。

そして戦後、まずは人の育成が第一ということで、特に地元の方々や沖縄から海外へ移住された方々の熱意や資金援助によって1950年、琉球大学が開学しました。国内には、このような形でできた大学は他にありません。当時の大学の本館は…

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