社会科学の研究が事業になる 一橋大学が活かす未利用資源

社会科学の総合大学・一橋大学が、大学発スタートアップの支援に本格的に動き始めている。社会課題を起点に、研究成果の事業化に挑む。その原動力は、学内に眠っていた未利用資源にある。副学長兼スタートアップ支援室長の西野和美氏に、その狙いと手応えを聞いた。

課題起点なら社会科学が強い

西野 和美

西野 和美

国立大学法人 一橋大学 副学長(広報・社会連携、学長特命〔研究IR〕担当) /スタートアップ支援室長
一橋大学商学部卒業。化学メーカー勤務を経て、2001年一橋大学大学院商学研究科博士後期課程単位修得退学。2002年一橋大学博士(商学)。東京理科大学経営学部経営学科専任講師、イノベーション研究科技術経営専攻准教授、一橋大学大学院経営管理研究科教授を経て、2024年一橋大学副学長に就任。現在は、製造業における研究開発マネジメント、新規事業創出の論理、ビジネスモデルの動態モデルと持続的競争優位性、などについて研究を行っている。

一橋大学は社会科学に特化した国立大学として、創立から150年余りにわたり産業界のリーダーを輩出してきた。産業界を牽引する人材の育成を掲げる「Captains of Industry」の理念のもと、教育面での社会的価値には揺るぎない自負がある。一方で、研究成果をいかに社会に還元するかという問いは「ずっと課題だった」と西野副学長は率直に語る。

総合大学であれば、理系分野を中心にオープンイノベーションの文脈で企業からの外部資金を獲得しやすい構造がある。大学の技術シーズを企業が探し、共同研究を経て成果を事業化する。その繰り返しの中で「大学発スタートアップ=理系」という不文律が自然と形成されてきた。社会科学の研究成果は、高水準の学術ジャーナルや書籍では評価を受けても、それを産業界や地域社会に届ける道筋がなかった。

(※全文:2622文字 画像:あり)

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